2026年度生活安全サポート情報「北京在住の日本人のための予防接種ガイド」

2026-05-25

北京日本倶楽部生活環境委員会では、この春から北京での新しい生活を始められた皆さんへ、北京で安全に快適に過ごして頂くための「生活安全サポート情報」を、以下の如く全8回に分けて配信させて頂きます。

No.配信日タイトル
1/84/13(月)日本語で受診可能な歯科医(2Dr)
2/84/27(月)緊急時の情報入手(在留届、メルマガ、他)
3/85/12(火)子供の病気対策
4/85/26(火)北京在住の日本人のための予防接種ガイド
5/86/9(火)北京の歯科事情
6/86/23(火)中医学から見る:夏を健やかに楽しむ養生法
7/87/7(火)北京での出産について
8/87/21(火)反芻思考から抜け出そう

以上の情報が皆様のお役に立ちましたら、うれしい限りです。

 

2026年度 北京新生活安全サポート情報 No.4/8

北京在住の日本人のための予防接種ガイド

 

  1. 医学的な予防としてのワクチン接種の考え方

予防接種とは、感染症の原因となるウイルスや細菌に対して、あらかじめ免疫を獲得させる医療行為です。ワクチンは病原体の毒性を弱める、あるいは無毒化することで、安全に免疫反応を引き起こします。接種後、体内では抗体と免疫記憶が形成され、将来実際の病原体に遭遇した際に、重症化を防ぐ、あるいは発症自体を抑えることが可能になります。

ここで重要なのは、ワクチンの目的が単なる「感染予防」だけではない点です。多くのワクチンは、発症予防、重症化予防、合併症予防を主な目的としています。 さらに、一定割合以上の人が免疫を持つことで感染拡大を抑える「集団免疫(herd immunity)」が成立し、乳幼児や基礎疾患を持つ方など、ワクチンを受けられない人々を社会全体で守る役割も果たします。

副反応(発熱や接種部位の腫れなど)は一定の頻度で見られますが、多くは軽度かつ一過性であり、感染症によるリスクと比較すると、ワクチンの利益が大きいことは医学的に確立されています。

 

  1. 日本におけるシステム 

生まれる前から小児・成人・高齢者まで:ライフステージに応じたワクチンの必要性

ワクチン接種は決して「一度で終わるもの」ではなく、年齢や生活環境に応じて段階的に実施されます。現在の日本においては、母体予防接種による胎児期における感染予防に始まり、乳幼児期、学童期、思春期、成人期、老年期とライフステージを通じて必要とされるワクチンを接種するシステムが構築されています。

特に乳幼児期は免疫が発達段階のため、必要とされる予防接種の種類も多く最も重要な接種時期です。ワクチンの1回1回の接種は、幼い身体に感染に対する「防火壁」を1枚ずつ加えるようなものであり、子どもたちを命に関わる重大な脅威や後遺障害から遠ざけてくれます。決められた時期に子どものワクチン予防接種を完了し、遅延や接種漏れを防ぐことは、すべての保護者が子どもに与えられる最も基本的で、かつ最も重要な健康保障です。

また、学童期、思春期においては集団生活及び社会的活動の増加に伴い必要とされるワクチン予防接種が実施され、乳幼児期の接種のみならず追加接種が必要なワクチンも存在しています。さらに、おたふくかぜ予防ワクチンなど、依然任意のワクチンも存在していますが必要に応じて積極的接種が勧められています。

さらに、成人・高齢者においても予防医療の観点からは積極的なワクチン予防接種が勧奨されています。特に高齢者は明らかに免疫能が低下傾向にあるため、自分の身を守るためにも必要とされるワクチン予防接種を定期的に完了することが求められています。

 

日本における定期予防接種:

・RSウイルスワクチン:母体・妊娠28週から36週に接種

・ロタウイルスワクチン:生後2ヶ月〜にて接種

・5種混合ワクチン:生後2ヶ月〜にて接種、追加接種あり

ジフテリア・破傷風・百日せき・ポリオ・Hib(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)

・子どもの肺炎球菌ワクチン:生後2ヶ月〜にて接種、追加接種あり

・B型肝炎ワクチン:生後2ヶ月〜にて接種

・BCGワクチン:生後5ヶ月〜にて接種

・MRワクチン:1歳〜、5歳〜にて接種 麻疹

・水痘ワクチン:1歳〜にて接種

・日本脳炎ワクチン:3歳〜、9歳にて接種

・DTワクチン:11歳〜にて接種 ジフテリア・破傷風

・HPVワクチン:12歳〜にて接種

・高齢者の肺炎球菌ワクチン:65歳

・帯状疱疹ワクチン:65歳

・インフルエンザワクチン(高齢者):65歳〜毎年接種

・新型コロナワクチン(高齢者):65歳〜毎年接種

 

日本における任意予防接種:

・おたふくかぜワクチン:1歳〜、5・6歳小学校入学前にて2回接種

・インフルエンザワクチン(65歳未満):毎年接種

・新型コロナワクチン(65歳未満):毎年接種

・A型肝炎ワクチン:適宜

・髄膜炎菌ワクチン:2〜55歳にて接種

・黄熱ワクチン:適宜

・狂犬病ワクチン:適宜

  1. 中国と日本における予防接種制度の違い

北京で生活する上では、「医学的に必要か」と「制度上どうなっているか」を分けて理解することが重要です。

 

■ 日本の特徴

  • 予防接種法に基づく定期接種制度
  • 年齢ごとの標準スケジュールが明確
  • 多くが公費負担
  • 母子手帳で一元管理

 

■ 中国の特徴(国家免疫計画)

中国でも国家主導の予防接種制度があり、無料で受けられるワクチン(第一類ワクチン)が存在します。一方で、自費の任意接種(第二類ワクチン)も広く提供されています。

主な違いとして:

  • ワクチンの種類の違い
    例:ポリオは地域により経口生ワクチン(OPV)と不活化(IPV)が併用
  • 接種スケジュールの違い
    開始時期や間隔が日本と異なる場合がある

 

■ 北京在住日本人が注意すべきポイント

  • 日本の接種歴を正確に引き継ぐ必要がある
  • 中国の制度にそのまま合わせるのではなく、「医学的に必要な接種」を再構成する
  • ワクチンの種類(生・不活化)の違いを理解する

具体的には:

① 母子手帳・接種記録の持参
② 日本と中国のスケジュールの照合
③ 不足・重複の整理
④ 医療機関での専門的判断の活用

 

北京では、日本脳炎、A型肝炎、インフルエンザなどは特に現地リスクとして考慮すべきです。

また一般的に海外生活では、衛生環境や感染症の流行状況が異なるため、成人でも追加接種が必要になることがあります。特に麻しんは感染力が非常に強く、ワクチン未接種の場合、流行時に高確率で感染します。

 

  1. 明徳病院(オアシス病院)におけるワクチン医療

実際の現場では、「制度の違いを理解している医療機関」を選ぶことが重要になります。

北京の北京明徳医院では、日本人患者に対して以下のような医療を提供しています。

 

 ① 接種歴の正確な評価

日本の母子手帳をもとに、これまでの接種状況を医学的に評価。単なる回数ではなく「有効な免疫が成立しているか」を判断します。

② 日中のスケジュール統合

中国の国家免疫計画と日本の標準スケジュールを照合し、個別に最適化された接種計画を作成します。

例:・ BCG済み → 追加不要

・ 日本脳炎 → 中国で継続接種

・ ポリオ → IPVで統一可能か検討

 ③ ワクチンの安全性・品質の説明

ワクチンは製造だけでなく、輸送・保管(コールドチェーン)が重要です。正式に承認・上市されたすべてのワクチンは、厳格な研究開発・審査承認およびコールドチェーン管理を経ており、その予防効果は一般的な軽微な副反応をはるかに上回ります。これらの管理体制や承認プロセスについて、日本語で説明を行い、不安を解消します。

④ 接種時のサポート

日本語対応スタッフによる説明とフォローのもと、接種を実施。接種後の観察(通常30分)も含め、安全に配慮した体制を整えています。接種後の微熱や局所の腫れ・赤みを心配される方もいます。しかし、これは多くの場合、免疫細胞が活性化し正常に働いているサインであり、通常は1〜2日で自然に改善します。

⑤ 継続管理(リマインダー)

次回接種のタイミングを個別に管理し、接種漏れや遅れを防ぎます。

 

  1. まとめ

予防接種は「環境に応じて最適化すべき医療」です。

北京で生活する日本人にとって重要なのは、

  • 日本の基準を理解すること
  • 中国の制度を把握すること
  • その両者を医学的に統合することです。

北京明徳医院のように、両国の事情を理解した医療機関を活用することで、「不安による回避」ではなく、「科学的根拠に基づいた選択」が可能になります。

ご自身やお子さまの接種歴を一度整理し、必要なワクチンを計画的に受けることが、海外生活における最も確実な感染症対策です。

 

<文責>

森田 潔

OASIS International Hospital 北京明徳医院

医学博士 医師

Healthcare Consultant for Japanese Patients

岡山大学名誉教授・上海交通大学客員教授

Email: sentianjie@boe.com.cn

+86 158 1138 8037

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