《中国伝統医学について》

2021-06-30

北京新生活安全サポート情報 No.6/7

≪中国伝統医学について≫

現在中医師として北京の病院に勤務する八木誠人と申します。中医にあまり馴染みのない日本の方にとって、中医の効果について、おそらく多くの方が疑問に思うのではないでしょうか?

その疑問にお答えする為に、私自身の治療体験をお話したいと思います。

・アトピー発症

私自身日本にいるときは漢方って何?中医学?単語すら聞いたこともありませんでした。大学に通っていた20歳の時です。その頃は昼と夜の区別がないような不規則な生活を続けていた。ある日の朝、突然左のおでこに湿疹のような皮膚のただれができていることに気がつきました。たいしたことはないと気にせずにいたのですが、ただれから出てくる滲出液がどんどん増え、はじめはなかった痒みが増してきました。気がつくとただれの箇所がおでこから下に向かって広がり、顔全体に広がるまでさほど長い日数はかかりませんでした。

・治療法の模索

その頃になるとさすがに病院にいこうと思い始め、思い切って近くの皮膚科を受診しました。診断の結果は「成人型アトピーです」…ショックでした。ステロイドの軟膏をだしてもらいました。ステロイドを塗ると痒みがすっとおさまりました。それは真夏にじりじりと太陽が照りつける炎天下の元でランニングをした後、エアコンの効いた部屋に入ったときのような感覚に似ていました。あの眠れないぐらいの焼きつく痒みがうそのように消えていきました。よく効いていたステロイド療法でしたが、私のアトピー症状に対しては根治まで至らず、その他の治療方法を探すことになりました。

サプリメント、化粧品、痒みが治まるという水、減感作療法など当時思いつくことは全て試しました。その頃になると炎症が全身に広がり、夜は4時過ぎまで痒くて寝られず、朝起きると爪で引っかいた血の線ができていました。引っかき傷ができないよう、時には腕を縛って寝ることもありました。

・東洋医学との出会い

そんなある日、本屋で出会ってしまったのです、この先の私の人生を変えることになる『東洋医学』の本に。鍼灸でアトピーを治療するという内容の本でした。早速その先生を訪ねて針治療を受けてみました。その日の夜、痒みが少し軽くなっていることに気がつきました。これは可能性があるのでは、少し希望が見えたような気がしました。“続けてみよう”そう思っていたのですが学生だった私には治療費が高く、二ヶ月で治療をあきらめざるをえなくなりました。しかし既に東洋医学に活路を見出した私は、漢方薬も試してみたい…という気持ちが強くなり、漢方治療が受けられるクリニックを探しだしました。

漢方薬治療の始まり

その病院は、こどもクリニックでした。先ず大人でも治療を受けられるのか問い合わせをしました。

「大人の方でも大丈夫です」という返事をもらい、私の漢方治療が始まりました。自分で薬草を煎じ、煎じ終わった薬は湯船に漬け、薬浴をしました。煎じ薬を一週間服用したあたりから体に変化が起きました。体中からなんとも言えないにおいの滲出液が体中いたるところから出てきました。Tシャツが湿るくらいでした。ひどくなったのでは。そう思った私ですが、不思議なことに痒みはほとんど消えていました。これはどういうことなのか、クリニックに尋ねました。煎じ薬を続けて服用してくださいと指示され、言われた通り、服用を続けました。すると体のいたるところから出ていた滲出液がすくなくなってきて、その下からきれいな皮膚がでてきたのです。

服用を続けて三ヶ月、私のアトピーはすっかりよくなっていました。

発症してからすでに3年の月日が経っていました。

長いような短いような、でも充実した三年間でした。

アトピーとおさらばした私はその後、中国で中医を学ぶための長い旅路につくことになっていきます。

中医薬の効果は個人によって違いはありますが、西洋医学とは違う視点から新たな治療法を提案することができます。

日本の伝統医学である“漢方”というと日本人に馴染みの深いものとして“葛根湯”などがありますが、中国にいながら手に入れることができる漢方薬となると、まず選択肢にあがるのがOTC中成薬となります。中成薬とは、中国伝統医学によって扱われる複数の生薬(主に薬用植物)を配合して作られた薬のことです。

今回は、“知っていると役に立つ、北京同仁堂で買えるOTC中成薬を5種類”ご紹介いたします。また、薬のパッケージ画像は北京日本俱楽部HPでご紹介しています。

北京同仁堂:康照八年(西暦1699年)創立、中国漢方薬業界の老舗ブランド。中国各地に店舗がある。ホームページ(https://www.tongrentang.com/newsList/55/1.html)

(1)食べ過ぎによる食欲不振に…

大山査丸(Da Shanzha Wan)

組成:山査子、炒麦芽、六神曲。添加物:蜂蜜、ショ糖。

効果効能:消化促進、食欲増進。食べ過ぎによる胃もたれ、食欲不振。

用法用量:大人1日1~3回、1回1~2丸。子供1日1~2回、1回1丸。蝋の外殻から丸薬を取り出し、そのまま咀嚼し服用。

使用上の注意:妊婦は服用しないこと。空腹時に服用しないこと。3日間服用しても症状の改善が見られない場合は、服用を停止し医師に相談すること。

(2)元気がなく胃腸の働きが衰えて疲れやすい…

補中益気丸(Buzhong Yiqi Wan)

組成:炙黄耆、党参、炙甘草、炒白朮、当帰、升麻、柴胡、陳皮。添加物:生姜、大棗。

効果効能:消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症:病後の体力増強、食欲不振、ねあせ、多汗症。

用法用量:1回1袋(6g)、1日2~3回。

使用上の注意:服用期間中は消化の悪い食事を控えること。風邪の症状がある時は服用しないこと。高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病、腎臓病など重い慢性疾患がある方は、服用前に医師に相談すること。子供、妊婦、哺乳期は、服用前に医師に相談すること。服用4週間後も症状の改善が見られない場合、服用を中止し医師に相談すること。

(3)夏カゼによる下痢や吐き気に…

霍香正気水(Huoxiang Zhengqi Shui)

組成:カッコウ、蒼朮、陳皮、姜厚朴、ビャクシ、茯苓、大腹皮、生半夏、甘草、広霍油、紫蘇葉油。添加物:干姜汁、薬用アルコール。

効果効能:湿気が多い時期に冷えたり、暑い時期に冷たいものを摂取したうえに身体が冷えたときに発症する、身体の倦怠感、腹痛、嘔吐下痢。白く厚い舌苔がみてとれる。

用法用量:半瓶(5ml)~1瓶(10ml)/回、1日2回。服用前に軽く上下に振る。

使用上の注意:高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病がある方は、服用前に医師に相談すること。アルコール成分が含有されるため、服用後の車の運転や激しい運動は控えること。3日間服用しても症状の改善が見られない場合、服用を中止し医師に相談すること。

(4)寝つきが悪く、めまい、物忘れをよくする…

棗仁安神液(Zaoren Anshen Ye)

組成:炒酸棗仁、丹参、酢五味子。添加物:蜂蜜。

効果効能:体力が低下した人で、身心がつかれ弱って眠れない者。老人などで夜間眼がさえて眠れない場合。精神不安、神経過敏を伴う場合。

用法用量:1日1回、就寝前に服用。10~20ml/回。

使用上の注意:妊婦は服用しないこと。糖尿病患者、子供は医師の指示のもと服用すること。服用2週間後も症状の改善が見られない場合、服用を中止し医師に相談すること。

(5)生薬でできた風邪薬。鼻水、寒気がある引き始めの風邪に…

感冒清熱顆粒(Ganmao Qingre Keli)

組成:荊芥穂、薄荷、防風、柴胡、紫蘇葉、葛根、桔梗、苦杏仁、ビャクシ、苦地丁、芦根。添加物:ショ糖、デキストリン。

効果効能:引き始めの感冒。頭痛、寒気を伴う筋肉痛、鼻かぜ。

用法用量:1日2回、1回1袋。お湯に溶かして服用。

使用上の注意:服用期間中の喫煙飲酒および辛い、冷たい、油っこい食事は控える。高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病、腎臓病など重い慢性疾患がある方は、服用前に医師に相談すること。子供、妊婦、哺乳期は、服用前に医師に相談すること。38.5度以上の発熱がある者は、発熱外来を受診すること。服用3日後も症状の改善が見られない場合、服用を中止し医師に相談すること。

監修:

J HEALTHCARE(中国語名:迦華国際医療)

中医師 八木誠人

予約・お問い合わせ番号:400-090-1000

行知堂東文中医診療所

中医師 秋山陽子

予約・お問い合わせ番号:010-5613-7616

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