2025年度・北京新生活安全サポート情報No.7《反芻思考から抜け出そう》

2025-07-04

北京日本倶楽部生活環境委員会では、この春から北京での新しい生活を始められた皆さんへ、
北京で安全に快適に過ごして頂くための「生活安全サポート情報」を、以下の如く全7回に分けて配信させて頂きます。

No. 配信予定日 タイトル
1/7 4/29(火) 緊急時の情報入手(在留届、メルマガ、拠点公寓&オフィス、他)
2/7 5/13(火)北京で生活する際の予防接種のポイント
3/7 5/27(火)子供の病気対策
4/7 6/10(火)北京の歯科事情 -2025年版-
5/7 6/24(火)夏を健やかに楽しむ知恵:中医学が教える「夏養生」の極意
6/7 7/8(火)北京での出産について
7/7 7/22(火)反芻思考から抜け出そう

以上の情報が皆様のお役に立ちましたら、うれしい限りです。

《反芻思考から抜け出そう》

誰もがぐるぐる考えてしまい、否定的な考えに頭を支配された経験があるでしょう。私たちに自制心の喪失を感じさせ、不要な思考を抑えようとすればするほど、かえってその考えが頭の中で際立ってしまいます。うつ病や不安障害など、さまざまな心理的問題に苦しむ人々の中には、このような「反芻思考」が存在するケースがよく見られます。
反芻思考の本質は、人々が不確実性を受け入れられないと信じ込む傾向にあります。私たちには常にすべてをコントロールしようとし、脅威に焦点を当てる習慣があります。そして、実際に問題が発生した時には、自分自身の問題解決能力を過小評価しがちです。
本記事では、反芻思考とは何か、そして、その過度な影響を軽減するためにはどうすればよいかを考えていきましょう。

1.反芻思考とは何か
人間の脳は常に思考を巡らせていますが、残念ながら人間の心は完璧ではなく、思考が制御不能になり、多大な苦痛をもたらすことがあります。反芻思考はその典型例です。不安、抑うつ、後悔、羞恥心、屈辱、憤りなど様々な情緒の中にその姿を見ることができます。
例えば、「なぜ私は成功できないのか?」「なぜ私はこんなに問題が多いのか」といった憂鬱な気分、あるいは、「子供にそんなに厳しく要求しなければよかった」「大学を中退しなければよかった」という自責の念、過去に指摘された批判的な経験を繰り返し思い出すような恥ずかしい・居心地の悪い記憶などが挙げられます。
反芻思考には以下のような特徴があります。
①繰り返して出てきてしまう;
②侵入的(突然頭に浮かび、気づいた時にはすでにその罠にはまっている);
③頑固(一度現れると消し難い);
④制御不能(思考を切り替えようとしても、また元のパターンに戻ってしまう;
⑤抽象的(概して漠然とし、現実離れした形で存在する)。
したがって、ご自身のネガティブな考えが反芻思考の形をとっていないか、観察して、評価してみましょうか。

2.過度な不安を軽減するために
反芻思考にはさまざまな種類がありますが、不安障害と密接に関連しているのは「過度な不安」です。
不安は私たちにとって呼吸のように自然なもので、必ずしも有害とは限りません。現実に即した不安というものがあり、これは現在直面している問題や状況に関連しており、解決策を見つける手がかりとなったり、行動を促したりする役割を果たします。
しかし、長期間にわたって不安を抱え続けている人にとっては、繰り返しているネガティブな思考は、問題解決の失敗に導くだけで、何のメリットももたらしません。また、ほとんど起こり得ない仮想的な問題に焦点を当てた「根拠のない不安」も同様に害しかありません。
こうした想像上の不安に対処するための練習として、以下のようなことを実践できます。
まず、心配事の特定。頻繁に頭に浮かび、苦痛をもたらす「恐ろしい可能性」に関する不安を選び、書き出します。例えば、「学業の負担が重すぎて、大学で恋愛ができず、結局孤独な人生を送ることになるのではないか」。できれば、より詳細に書き出してみましょう。例えば、「その不安が現実になる原因は何か?」「あなたの生活や周囲の人々にどのような影響を与えるか?」「実際にそれが起こる確率はどのくらいあるか?」「あなたはそれに耐えられると思うか?」「最悪の場合、具体的に何が起こるか?」「その最悪な可能性をコントロールする方法はあるか?」
次に、以下の四つの観点から、自分の認知を評価、再構成します。
①証拠の収集:その「災難」が起こる/起こらない根拠を挙げる;
②対処能力の評価:自分にその事態に対処する能力があるかどうかを検討する;
③認知の歪みの特定:自分の思考にどのような偏りや誤りがあるかを認識する;
④行動実験の実施:実際にその「最悪の予測」をテストするための行動を取ってみる
この方法を通じて、非現実的な不安を現実的に評価し、不安を軽減することが可能になります。

3. 過去への反芻を軽減するために
不安が未来に焦点を当てるのに対し、過去にとらわれる反芻もあります。以下では「反芻」と略称します。反芻と不安とは非常に似ていて、どちらも「ネガティブで、繰り返し起こり、制御不能で、受動的」という特徴があります。反芻は過去へのとらわれであり、うつ病と関連することが多いと言えます。

不安と同様に、適度な反芻も有用な場合があります。過去の失敗を振り返ることで、将来の目標達成に向けた新たな視点を得られるからです。しかし、「なぜうつになったのか」「なぜこんなことが起きたのか」といった思考に長時間とらわれると、かえって問題を創造的・効果的に解決する能力を阻害してしまいます。
反芻を軽減するための方法の一つは、過去の失敗に対する考え方を変えることです。まずは、反芻の原因となった達成できなかった目標と、現時点での達成度を詳細に書き出し、目標が達成できなかった原因を具体的に分析します。例えば、「自分の選択や行動の影響はどれくらいあるか?」「他人や環境の影響は?」「不可抗力や運などの偶然的要因はあったか?」など。そして、理想と現実のギャップを埋めるための行動プランを立てます。思考を「なぜ(Why)」から「どうすれば(How)」に転換します。ここで、重要なのは、「どうすれば」の行動は、ささやかな行動で構わないということです。「ずっと寝ていた」状態より「コーヒー一杯を淹れるために起き上がる」という小さな行動を試すことも大事です。小さな「好きなこと」に取り組み、こうした「外の世界に注意を向ける行為」は、反芻から脱する貴重な一歩です。没頭できる体験に集中することこそ、反芻の悪循環を断ち切る有効な方法なのです。
さらに詳しく知りたい方におすすめの一冊:『「反すう」に気づいてぐるぐる思考から抜け出そう!』岩崎学術出版社著者: 大野裕 (監修)梅垣佑介 中川敦夫 (著)

文責:
王小双
臨床心理士・公認心理師
北京港澳国際医務診療所・北京聆析心理相談室 心理カウンセラー

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診療科目:内科、外科、小児科、婦人科、皮膚科、口腔科、中医科(針灸・推拿・整骨)、精神科・心療内科、眼科、耳鼻咽喉科、薬局、予防ワクチン接種
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