2024年日中友好植樹会開催報告
■イベント名: 日中友好植樹会
■開催日: 2024年5月18日・6月8日・6月15日・6月22日 6時30分~20時40分
■共催: ●中日交流論壇(欧米同学会留日分会/中関村科技企業家協会/北京大学日語系友会/中国墨子学会青年研究会)●北京和僑会・日中未来ラボ●北京日本倶楽部
■場所: 河北省張家口市張北県饅頭営郷(墨子学会青年研究会植樹基地)
■当日スケジュール(6月15日実績):
06:30 発展大廈駐車場に集合
06:45~07:20 バス移動(第2出発地点へ)
07:25~10:30 地下鉄13号線西二旗駅付近出発、バス移動、車内交流
10:30~10:40 緑化及び木の生育や植樹に関する説明
10:40~12:00 植樹の技能学習、葉落とし、木の枝の剪定作業
12:15~14:45 昼食・交流
15:00~16:15 植樹基地へ移動、苗床の補修、穴掘り、植樹、枝の手入れ
16:30~20:40 バス移動、車内交流、西二旗駅・発展大廈にて解散
■参加者: 第1回 5月18日 日本側1人、中国側25人、合計26人
第2回 5月25日 学生デーは雨天の為中止・延期(9月頃開催予定)
第3回 6月08日 日本側13人、中国側17人、合計30人
第4回 6月15日 日本側13人、中国側11人、合計24人
第5回 6月22日 日本側20人、中国側15人、合計35人
合 計 日本側47人、中国側68人、合計115人
一昨年、日中国交正常化50周年を記念して、初の日中友好植樹会が開催され、昨年は日中平和友好条約締結45周年を記念して、再び日中友好植樹会が開催されました。今年も引き続き開催することになり、5回(5月18日・5月25日・6月8日・6月15日・6月22日)実施を予定し、6月15日(土)は北京日本倶楽部社会貢献委員会が主体的に参加交流する回となり、北京日本倶楽部社会貢献基金より植樹費用の一部に役立てて頂くべく10,000元の寄付金をお渡ししてきました。
この植樹活動を推進してきたのは、墨子学会青年研究会の「徳立墨芳緑化団」で、2012年から始めたこの緑化活動は、今回で第461団(461回目)となりました。これまでの活動費用については、中日交流フォーラム副会長、徳立墨芳緑化団の廖理純団長が自ら負担され、これまで費やした費用は3,000万元(約6億円)を超えるほどだそうで、専用バス車両もなんと自己所有。専用の運転手さんと交代で廖団長も自ら運転されています。植樹活動へのこれまでの累計参加者は延べ16,000人、130万余株の苗が植樹され、毎回往復で500km以上を走る専用バスの総走行距離は地球8周分を超えたそうです。
当日朝6時30分頃、第1出発地点である北京発展大廈の駐車場に集合し、6時45分に出発。第2出発地点である地下鉄13号線西二旗駅付近に向かいました。発展大廈から西二旗までは30分ほどで到着し、前日に香港から北京入りした廖団長を含む残りのメンバーを迎えて、日中総勢24名のボランティア団は植樹基地に向けて出発しました。出発してすぐに張副団長の軽快な司会と李先生の素晴らしい通訳の下当日の行程の説明があった後、参加者全員の自己紹介タイムに突入。出身地や北京(中国)滞在歴、学業や仕事の紹介、趣味や自慢できる事、様々な人生経験などをシェアしました。今回は子供連れのご家族や学生、会社員、定年退職された年配の方々まで様々な顔ぶれで日本語が上手な方々も多くいらっしゃいました。一人また一人・・・と自己紹介が続いていくと共に車内は打ち解け和やかなムードになっていきました。途中、中間地点でトイレ休憩の為サービスエリアに立ち寄った後再び出発。残りの自己紹介が終わると、日中の歌の合唱やカラオケなどで交流は続きました。ようやくの睡眠休憩に入ると車内は静寂に包まれバスはひた走りながら車窓の風景が高原へと移り変わっていきました。
北京市内を出発して4時間後、標高1,500メートルの植樹基地に到着すると、日差しは強いものの気温は北京市内よりも10度ほど低く爽やかな風が吹きわたり、真っ青な空に、絵に描いた様な白い雲がとても近く感じられました。周囲を見渡すとかつて植樹したであろう松や楡、ポプラなどの木々と緑の草地と砂地が入り混じった平原が広がっていました。バスを降りると、事前に用意された麦藁帽子、軍手、剪定道具を受け取り、植樹に関する説明を受けた後、4グループに分かれて不要な木の枝の剪定作業に取り組みました。廖団長は、木の種類やそれぞれの寿命について、また砂漠地帯など水分の乏しい大地で苗木が最小限の水分で上へ上へと高く伸びていく為には、無駄な枝葉を切り落としていく事が重要であることを説明してくれました。植えてまだ年数の浅い苗木は剪定バサミで楽に切ることができましたが、かなり育った木になると枝も太く、切るのにはノコギリが必要で、大人3~4人がかりでの作業は一苦労でした。子供も大人も一緒に助け合いながら真剣に取り組んでいる様子はとても微笑ましいものでした。午前中の作業を終えると近くのレストランに移動して昼食会。日中両参加者が乾杯を交わしながら、素晴らしい交流のひとときを過ごしました。
午後からは植樹作業の為、基地の植樹専用エリアへ移動。そこには過去植えられたたくさんの樟子松が一面に広がっていました。樟子松は乾燥や暑さ寒さにも強く寿命が200年ほどといわれており、そこに至る為には植樹してから最初の3年は水やりを続けなければならないなど気の遠くなりそうな手入れが必要だそうで、それらを心得た上でいよいよ植樹作業をスタート。植える苗木は2メートル以上の高さがある為、シャベルを使って深さ60~70センチほどの穴を掘らなければなりません。皆さん初めての穴掘り作業に悪戦苦闘していましたが、中国側ベテラン経験者やグループ毎の仲間でお互い助け合って全員無事苗木を植えることが出来ました。植える際は、自分の苗木の成長を祈って、各自の名前が刻印された記念のミニプレートを木の根元に一緒に埋め、最後に木の枝の剪定作業をして完了でした。また、全員の植えた木々の正面には「第461回ボランティア林」という意味の中国語表記の記念プレートをハンマーで打ち込み、そこが自分達で植えたエリアであることが分かるようになっていました。最後に全員で集合写真でしたが、植樹を終えた達成感からか、皆さん全員の表情が喜びに満ちていて本当に素晴らしいフィナーレとなりました。
帰途についたバスの中では、参加者全員が順番に植樹活動の感想を発表しあいました。主催者への感謝と喜びの声が飛び交い、ほとんどの方からまた参加したいという希望があがるなど、今回の植樹がとても楽しく充実した友好交流活動になった事を感じさせる嬉しい意見がうかがえました。その中で、北京日本倶楽部の川邊誠副会長兼社会貢献委員長と墨子学会青年研究会の廖理純会長兼緑化団長との間で、今後も日中友好植樹会を共同で開催していきたい旨の思いが双方で確認されました。廖団長は常々「植樹活動そのものよりもそこで生まれる人と人との交流の方がより大切である」という考えをお持ちで、誰よりも日中友好交流を望んでいらっしゃる方なのです。廖団長がこの活動を始めるきっかけになったのは、内モンゴル恩格貝の砂漠地帯をオアシスへと変えた鳥取大学名誉教授の遠山正瑛氏の行ってきた長年の活動と実績(300万本のポプラ植樹により年間降水量わずか20ミリを300ミリになるまでに変えた)、そしてその精神に深い影響を受けたからだそうです。廖団長は、2005年から3年間、遠山正瑛氏の意思を引き継いだ植林活動(遠山氏が2004年に逝去後も継続)に参加した経験から自らの植樹活動を決意された事を振り返りながら、今後ともこの様な植樹活動を通じて多くの方に交流の機会を提供していきたいという熱い思いを語られました。そうこうする内にバスは北京市内へとさしかかり、西二旗を経由し最終目的地発展大廈へと向かい第461団植樹会は無事に活動を終えました。植樹を通じてこの様な日中交流が出来たのは大変貴重な体験となりました。
今回の活動は6月22日の回をもってすべて無事に終了し延べ115人ものボランティアが参加し、その数プラスアルファの木(5月18日の回は一人2本植樹)が植えられました。この活動を通じて育まれた日中交流は多くの方の心に素晴らしい思い出として刻まれた事でしょう。そしてその証として、希望者にはボランティア証書が発行されました。参加者の中ではまたいつの日か自分の植えた木の成長を確認するために現地を訪れようという約束も交わされつつ、今回の植樹に関する感想も語られました。ここに一部参加者から集めた感想をご紹介させて頂きます。
参加者された方々には「ボランティア証書」が授与されました。
2024年6月23日北海道新聞にも掲載されました(クリックして拡大)。
5月18日参加者からの声
1.とても意義のある活動を続けられていて頭が下がります。良い経験をさせていただきました。中国側の参加者も親日的な方ばかりで1日楽しく過ごすことができました。どうもありがとうございました。
6月8日参加者からの声
1.初めて日中友好植樹会に参加させていただきました。人生で初めての植樹体験では、どこか違う世界のことのように感じていた環境保護が身近な存在となり、未来のためにこれからも出来る事をしていこうと思わせてくれました。年齢も、育った国も違う方々と共に、未来の為に木を整え、植えるという貴重な体験は私の人生の誇りになっています。皆様と植えた木と共に、日中友好の木ももっともっと大きくなる事を願います。ありがとうございました。
2.天気もよく気持ちの良い気候の中、日中友好植樹会に参加させてもらいました。自分で植えた木が次の世代に繋がる事を祈りながら、ネームプレートを埋めました。行き帰りのバスでは、一緒に歌を歌ったり、自己紹介や植樹の感想を通して友好を深める機会もあり、とても意義のある会だと思いました。
3.二回目の参加となった日中友好植樹会。北京で暮らす一人として、北京市民の皆さんと一緒に何か社会貢献活動ができれば…と願っていたところに、この活動へのお誘いは大変有難いお話しでした。また、地球温暖化の問題に対して何かアクションを起こしたい!と考えていた矢先でもあり、植樹活動はその小さなアクションの一つとなりました。さらに、植樹活動に日本人として参加することで、日中交流の良い機会となりました。朝早くから一日を共に過ごして、共に汗を流し、歌を歌い、感想をシェアする中で、自然に日中相互理解が促進されたと感じました。幾重にも価値のある活動に参加させていただき、貴重な機会を創出して下さった徳立墨芳緑化団や関係者の皆様に感謝です。
6月15日参加者からの声
1.小林正弘さんの感想が、中国網日本語版(チャイナネット)2024年6月24日版に掲載されています。http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2024-06/24/content_117271056.htm
2.青空の下、中国の新しい友人達と、それから日本の新しい友人達と汗を流せた事、感動でした。植林した木々がすくすくと丈夫に育って欲しいと心から思います。
3.長年続いている植林に参加させていただき、社会貢献できたことを誇りに思います。国籍や年齢関係なく、みんなで一丸となって、とても楽しい1日を過ごせました。
4.青空の下、日中の友好を確かめられたことは大きな歓び。長年の尽力努力に感謝感激。
5.貴重な機会でみなさんと有意義な時間が過ごせて大変嬉しく、また中日交流に少し貢献が出来たことは今後の自慢です。
6.一本の苗木を植える事の意味を、体感出来る植樹活動。植樹活動は、私達が美しい地球の一員である事を忘れ無い為のactionだと思う。
7.植樹に連れて行ってくださり、ありがとうございました。移動時間が長くて、日差しが痛くて、土を深く掘るのも大変でしたが。みなさんの協力を頂きながら、自分の手で一本一命の木を植え終わるごとにとっても嬉しかったです。木を植える事で緑を増やすだけではなく、砂漠化、土砂災害や洪水なども防ぐ事ができると聞いたので植樹をする事が誇らしく思えました。今回植えた木が少しでも役に立って欲しいです^ – ^参加させて頂きありがとうございました。
8.中国語が全く話せない私を暖かく受け入れてくださった中国のみなさまに深く感謝いたします。今回植えた木の成長を来年確かめに行くのが今から楽しみです。地球環境の保全も日中友好も小さな積み重ねが大切だと痛感いたしました。
6月22日参加者からの声
1.日頃、中国にいて、何か自分にできることはないかと考えていたところであった。それは困っている外国人に対して中国の人々は優しく接してくれるからである。私にとって今回の植樹はそんな中国への少しばかりの貢献であり、感謝の活動であった。両国合同で行った意義も大きかった。中国の方も日本の方も長いバス旅ではあったがすぐに打ち解けて、帰りには一つのチームとなっていた。このような活動は参加してこそ、理解できる部分が多いと思う。ぜひ、中国にいる間に多くの人に経験してもらいたいと思った。
2.初めて植樹活動に参加しました。実際に剪定と植樹を経験して大切さや難しさを学びました。交流だけでなく共に活動することで一体感が深まりました。中国現地で参加でき非常に有意義な一日でした。
3.息子と参加しました。日本人、中国人がお互いのことを思いあう素晴らしい活動だと思いました。本活動が末永く続き、よりたくさんの方が参加されることを祈っています。
4.初めての参加でした。廖さんの活動。尊敬しました。ありがとうございました。またの機会に参加させて頂きます。より多くの方々へ本活動の意義を広めていきたいですね。
5.今回自分はボランティア活動自体が初参加になりまして、申し訳ないことに最初は泥臭い肉体労働を想像していたのですが、植樹という貴重な体験をさせて頂き、環境保護に微力ながら貢献できたこと、更に皆さんの和気藹々とした雰囲気のおかげで長距離移動も苦にならず、労働前後には美味しい食事もご馳走になるなど、いい意味でボランティア活動らしからぬ素敵なイベントになったと心から思いますので、来年も是非参加させて頂きたいです!
加えて、植樹会というプラットフォームを通じて様々なバックグラウンドを持つ方々とお知り合いになれたことも大変嬉しく思います、今後ともこのご縁を大切にしていきたいです。
6.まさか中国の地で植樹活動に参加するとは思ってもいませんでした。植樹をする事により環境を守るという意義だけではなく、日本人と中国人、二つの違う国の人々と同じ目的を持って行動する事でそこに友情と団結が生まれる。こんなに意義のある活動はないと思います。この活動に参加した事で自分も日中友好に対して少し役に立てたと思います。今後もこの活動が末永く継ぐ事を願っております。そして多くの人々にこの活動に参加していただきたいです。
7.私も初めての参加でした‼︎実は軽い気持ちでビール持参ピクニック気分で参加したのですが、廖さんの熱い思いに感動しました継続、そして団結は力なり。友好のあり方を学びました。来年は16才になる息子と参加したいと思います。
8.植樹会は初めての参加でしたが、地球規模の環境問題に対しても地道なアプローチが重要だということ学ぶことができ、大変有意義な機会でした。一つの活動を通じ、国籍を超えて多くの方と知り合うこともできましたので、機会があればまた是非参加したいと思います。
9.この植樹活動の大きな目的は、砂漠化の防止。でも植樹をして終わりではなく、すでに他のボランティアの手によって植えられた木のメンテナンス作業も行うことに特徴があります。一緒に参加した人との横のつながりだけでなく、綿々と続く活動の縦の時間軸も感じることができました。元々は、鳥取大学の遠山正瑛名誉教授(故人)の活動が原点と聞きました。中国側で遺志を引き継ぎ、日中の交流の活動に昇華させて続けられていることに感心しました。剪定作業も、植樹のための70センチの穴掘りも結構大変で思っていたよりも重労働でした。ただ、道中の交流も楽しく、爽快な気持ちになりました。関係者の皆様の努力に敬意を表します。ありがとうございました。