新型コロナウイルス後遺症の実情と対応 -西洋医の立場から-

2023-01-20

北京市内の新型コロナウイルス感染は峠を越えましたが、後遺症に悩んでおられる方が見受けられます。そこで、新型コロナウイルス後遺症の実情と対応について、西洋医の立場からオアシス病院の劉Drより、皆さんへの情報提供とアドバイスを頂きましたのでご参考下さい。

新型コロナウイルス後遺症について

新型コロナウイルス感染症から回復した後にも、罹患後症状(いわゆる「後遺症」)として様々な症状が見られる場合があります。
中日友好病院国家呼吸医学センターにおける681人(男性53%/女性47%)の患者調査では、COVID-19から回復した6ヶ月後も68%の患者が何らかの症状を訴えており、特に倦怠感(20%)、睡眠障害(17%)の頻度か高かったとのことです。その他、関節痛、胸痛、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、 痰、食欲不振、咽頭痛、めまい、筋肉痛、鬱などさまざまな症状か見られたとのことです。12ヶ月後、この数値は49%に下がっています。88%の患者では12ヶ月後に普段の状態に戻ったと回答しています。
さまざまな症状がみられ、どのくらい続くのかは不明ですが、時間経過とともに発現率は低下する傾向にあることが分かっています。適切に対応することで、多くの場合、症状は改善していきます。

主な症状は以下の通りです。

1.咳
新型コロナウイルス感染症にかかった後、療養期間が終了してからも、咳や痰の症状が続くことがある。咳や痰の程度は、軽いものから激しいものまでさまざま。基本的には時間をかけて治まってゆき、多くの方は1ヶ月程度で症状が改善する。

2.倦怠感
安静にしていると大丈夫だが、少し頑張って動くと、疲れ切って動けなくなる。徐々に倦怠感が増悪するケースでは、精神的な要因が主となっている可能性もある(精神的ストレスによる悪化)。
倦怠感が強い時期は安静にしましょう。少し倦怠感が改善してきても無理をせず、自分のできる範囲で少しずつ動いていきましょう。

3.頭痛
もともとある頭痛が悪化する場合や、新たに出現する場合がある。鎮痛薬(カロナール・ロキソニン)の効果が十分に出ないケースが多い。

4.息切れ・動悸
寝ていると症状はないが、立ち上がったときや動いたときに動悸が強く、苦しさを感じる。高齢者だけでなく、若年者にも生じる。

5.味覚・嗅覚の障害
鼻づまりや鼻水を伴わず、突然発症する。臭いや味が全くしない、においや味の感覚が弱い、これまでと違うにおいを感じる、急にこげたようなにおいや味がするなど、さまざま。感染後1か月程度で自然に治っていくことが多い。
コロナ診断後、2週間以上経過しても症状が続く場合、医療機関への受診をご検討ください。

6.脱毛
コロナ発症後、1ヶ月から2ヶ月後に訴える方が多く、特に女性から訴えが多い。症状発生から6ヶ月程度で徐々に改善してゆく。

7.物忘れ・考えがまとまらない
人の話や、書いてあることが理解できず、理解しようとすると非常に疲れる。普通では間違えないことを失敗する。覚えられない、思い出せない。

8.その他の症状
関節が腫れて痛む。胸がチクチクっとする、手足がしびれる、全体的に体の感覚がおかしい。胸やけ、下痢、急な発汗。

後遺症になったとしても、一人で悩まず医療機関に相談するようにしましょう。適切に対応することで、多くの場合、症状は改善していきます。

劉 雲宝 /北京オアシス国際病院 内科医師

文責:
生活環境委員会 重村新吾

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