北京新生活安全サポート情報 No. 5/6
《中国伝統医学(中医)の治療について》
Q1:中医とはなんですか?
A1:中国では中国伝統医学を「中医」とし、西洋医学を「西医」として区別をしていますが、どちらも医師免許を取得してれば「中医師」、「医師」として治療を施すことができます。中国には中医の専門病院、診療所が多くあります。北京市内にある総合病院には「中医科」が設置され、「中医肺病科」、「中医脾胃病科」、「中医皮膚科」、「中医腎病科」などの多くの診療科に区分されています。近年では、中医学と西洋医学の互いの薬と治療法を併せ、各自の利点を発揮することで治療効果を高めようとする中西医結合治療が重視されています。
Q2:中医の治療とはどのようなものですか?
A2:中医の治療は、自然と調和する生活をすることに加えて、主に体の外から施術する“外治法”と服薬をする“内治法”があります。外治法には、経穴(つぼ)刺激、鍼灸、推拿(すいな:中国式マッサージ)などが挙げられます。内服薬には、生薬治療(湯液)や中成薬(顆粒剤・丸薬など)があります。治療の必要に応じて外治法、内治法あるいは両方同時に施される場合があります。
Q3:中薬とは何ですか?漢方薬との違いは?
A3:中薬とは、主に天然に存在する薬効をもつ産物(植物、動物、鉱物など)を中国伝統医学の理論に基づき採取、加工、製剤したもので、病気の治療、健康の維持・増進、抗加齢などのために使われる薬のことを指します。また、臨床で使われる半数以上が植物由来の薬草になります。
日本の漢方は大陸から伝わった医学をもとに日本で独自に発展した医術を漢方と呼び、その薬を「漢方薬」と呼びます。日本の漢方は、「傷寒雑病論」などに記載されている決まった処方(方剤)を用いて治療します。中医の生薬治療の場合、個々の患者の病態に合わせて、さまざまな生薬(単剤)を組み合わせて配合することが一般的です。
Q4:中医治療の適応症はどのようなものですか?
A4:中医治療の具体的な適応症というものはありませんが、現代中国では中医と西洋医学が共存しながらさまざまな疾患の治療に応用されています。ここでは、中医治療の臨床でよく見られる症状の一部を例にあげます。
【虚弱体質】風邪をひきやすい、体力低下、季節の変わり目に出る不調など
【冷え性】四肢や腹部の冷え、しびれなど
【消化器系の不調】食欲不振、消化不良、下痢、便秘、膨満感、胃痛など
【アレルギー疾患】アレルギー性鼻炎、気管支喘息など
【女性の不調】月経異常、月経前緊張症、つわり、更年期障害など
【心身的な不調】ストレス、慢性疲労、だるさ、こり、イライラ、不眠、不安など
【運動器系疾患】腰痛、膝痛、肩こり、テニス肘、頸椎症など
【その他疾患】高血圧症、低血圧症、肥満、メニエール症候群、不妊など
Q5:中薬や鍼灸治療が適さない病気はありますか?
A5:はい、あります。
西洋医学の治療の効果が安全かつ確実に期待できる病気
緊急処置の必要が高い病気(急性腎不全、急性心筋梗塞など)
ただちに手術を必要とする疾患などがそうです。
Q6:西洋医学の薬と中薬は同時に服用してもいいですか?
A6:西洋医学のお薬と中薬を併用することで、それぞれの利点を生かした治療効果が得られる場合があります。しかし、飲み合わせにおいては禁忌事項があり、副作用を生じる場合もあるので、自己の判断で服用するのは避けて、西洋医学の薬やサプリメントなどを服用している場合は、必ず主治医にご相談ください。
Q7:中医の治療は時間がかかりますか?
A7: 治療期間は、患者の病態や体質などによって違いがでてきます。風邪や痛みなど1回の治療で効果がでる場合もあれば、慢性病や体質の改善など数カ月継続した治療を行う場合もあります。多くの場合1~2週間で体調の改善があらわれますが、全く改善がみられない場合は治療方針を変更していきます。また、治療と同時に食事指導や運動指導なども行い、生活習慣の見直しも含めて取り組んでいきます。
Q8:妊婦は中医の治療を受けることは可能ですか?
A8:妊婦も中医の治療を受けることは可能ですが、妊娠期間中は避けなければならない治療もあるので、受診前にご相談ください。
監修:
J HEALTHCARE(中国語名:迦華国際医療)
中医師 八木誠人
予約・お問い合わせ番号:400-090-1000/183-0118-2283(日本語対応専用)
行知堂東文中医診療所
中医師 秋山陽子
予約・お問い合わせ番号:010-5613-7616