泉州、客家土楼とコロンス 島 3 日間

2021-03-09

2019年9月13日(金)~15日(日)
海のシルクロードをめぐる泉州、一族を守り続けた「難攻不落の住宅」客家土楼とコロンス島 3日間 に行ってきました!

中秋節に ご参加者6名で海洋貿易のロマンを掻き立てる厦門、泉州とコロンス島、そして究極の集合住宅「客家土楼」に行ってまいりました。高温多湿の快適とは言い難い気候でしたが、雨に降られることもなく観光を楽しむことができました。

【1日目】北京からほぼ真南に2,000キロ、北京空港から約2.5時間のフライトで厦門空港に到着しました。3連休のため飛行機が遅れることを恐れていたのですが、定刻に到着!幸先の良いスタートと思い、いざ空港出発。。。。

あっ暑い。。。。  北京では秋の気配が感じられるようになったというのに、気温34度、湿度85% 熱中症に気を付けながら頑張っていきましょう!

2019kya_h (1)ゲートに到着、見えてきました!
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最初からいきなりメインエベントの一つ、土楼見学に華安へと向かいます。ここ福建省には3,000以上の土楼が残っているといわれていますが、私たちが向かう華安には68棟残っています。異民族に追われ、一族で南下してきた客家は自分たちの身を守る為、分厚い土壁を設け3階建てや5階建てなどの大きな住宅を造り、共同生活を行っていました。この防衛住宅はほとんどが今でも現役で使用されており、貴重な文化遺産として2008年世界遺産に認定されました。この村の土楼は全部で3つ。中央に見えるのが現存する世界最大の土楼で「二宜楼」、その左奥に小さく見える円形土楼は博物館になっている「南陽楼」、その南陽楼の右となりにあるのが、方形土楼の「東陽楼」です。まずは二宣楼へ。思っていたよりデカい!

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中に入るとさらにデカい! 防衛機能も備えた住宅は1階には玄関としての入口が1つしかなく、各住居の窓は2階以上にしかありません。各住居の入口も、真っ暗闇の中でも、手探りで今どこにいるかがわかるように、土楼の住民にしかわからない彫刻が刻まれており、敵の集中攻撃を受けても2か月は持ちこたえられる食料や水が保管されていたそうです。平和な現在、この土楼の住人たちは観光客向けの商店を営んでいる方も多数いらっしゃるようでした。

2019kya_h (4)福建省は言わずと知れたお茶の名産地、周囲には茶畑ののどかな景色が広がります。土楼の中にあるお茶屋さんで試飲し、記念にお求めになられた方もいらっしゃいました!外は激暑にもかかわらず、中は意外に涼しいのが不思議です。

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今回訪れた華安土楼は厦門市内から最も近い土楼なのですが、それでも片道約2時間、5時台に起床された皆様にとって、市内への帰路は重要な休憩時間となりました。初日の観光はこの1か所なので、夕食をとりホテルに向かいます。今日は朝の機内食のみだったため、おなかもペコペコ。暑い中を歩いたのでビールがおいしいこと間違いありません!周辺を海に囲まれた厦門は海産物の宝庫、材料は魚介類が多く、またあっさりとした素材の味を生かした料理は日本人の口に本当にあいます。中華料理は何回も続くとつらい時もあるかと思いますが、今回はいくら食べても大丈夫と、皆様に大変好評でした!そして今日13日はまさに中秋の名月、食後の夜空には美しい満月が光っておりました!

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海老とお茶の揚げ物。まさに福建ですね♪

本日も天気に恵まれ、(湿度と高温にも恵まれましたが)青空のもと元気に観光に出発いたしました。
【2日目】
本日最初の観光は、厦門から車で1時間半、海のシルクロードの起点となった泉州です。世界史の教科書にも登場する世界規模の貿易都市は、モンゴル時代の13世紀から14世紀にかけて海上交易の中心地として最盛期をむかえました。イブン・バットゥータやマルコ・ポーロによって、イスラム世界・ヨーロッパ世界にも紹介されています。泉州で最初に訪れたのは洛陽橋です。洛陽江の河口に架かる洛陽橋は宋の時代1059)に完成したそうです。泉州を代表する石橋であり北京の盧溝橋などとともに中国四大名橋とも称される834mの橋は、荒い波に耐えられるよう、特殊な工法で造られ、その美しい眺めは様々な書物にも謳われています。波打つ不均一な路面を歩いていると、古の光景を彷彿とさせられますね。

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景色はまぎれもなく南国です。

続きまして泉州の海洋交通の歴史のお勉強に向かいます。この気候ですので、室内のありがたさを皆さん感じられたことと思います。冷房って素晴らしい!
世界有数の海港都市の繁栄を、泉州湾から引き上げられた宋の時代の沈没船に残っていた品々や、中国各地で使われていた船の模型や実物が展示を通して感じることができました。中には中国語以外の文字を用いた石碑も等もあり、千年も前に大航海を通し泉州は世界と交流する、まぎれもない国際都市だったんですね。
それにしても隅田川下りと同等の大きさの船で、しかも動力なしで、ヨーロッパまで航海をする技術は驚愕に値します。

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さてさてランチタイムです。こちらもやはり魚介類が多く薄味で、疲れた体にやさしいお食事で好評をいただきました。

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暑いので、何はともあれ地ビールを一人1本!左から海老とニラの炒め物、スズキの丸蒸し、魚のつみれスープ。そしてカレー風味の麺、どのお店でも魚系のスープは美味で、またカレー風味の麺はおそらく珍しいと思います。やはり国際都市だったからスパイスも充実していたのでしょうか?

さておなかも一杯になったことですし、午後の観光も頑張りましょう!
午後最初の訪問は中国最古のイスラム寺院 清浄寺です。シリアのダマスカスにあるイスラム礼拝堂をモデルに造られたと言われています。泉州の人気観光スポットです。このアラブイスラム建築の寺院の見どころは、高さ約20mのアーチ型の大門です。輝縁石と白い御影石で造られているこの門は11世紀初頭に建築されたそうで、中国随一の貿易港であった泉州ならではの国際色豊かな観光地を皆さんお楽しみになられたと思います。

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迫力のある正門

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奉天壇と呼ばれる礼拝殿。屋根部分は崩れてしまい石の壁が残っているのみ。2019kya_h (22)

今も使われている小礼拝堂

次に関岳廟に向かいます。関羽を祀る関帝廟に20世紀初頭、岳飛も祀ることとなり関岳廟となりました。このどちらも祭られている泉州の関岳廟は非常に珍しいそうです。入り口付近にはおそらく占い師であろう人が机を並べていました。
中に入ると、台北の関帝廟と同じく2つの板を投げ占いをしている人が多く見受けられました。この廟の占いは大きな棒を引いて奥のデスクに番号を告げると、結果を話してしてくれます。ご参加者も占いを体験してみました!

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2019kya_h (14)-22019kya_h (14)-3御浄銭ももちろんキャッシュレス!!
普通の子連れのお母さんが、なんとさらっと1000元のボタンを押しました!!

さて本日最後の観光箇所は福建省最大規模の仏教寺院 開元寺です。まず到着すると、なつかしさ溢れる寺前の商店街が広がります。名前を忘れてしまったのですが、厦門のあちらこちらで見かけるローカルスイーツ。好きな具材を選んで、シロップをかけて食べるのですが、冷たくて疲れた体にはとてもやさしくしみわたります。その他にもマンゴかき氷など、南国ならではの味も楽しめます。

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さてしばらく商店街を歩きお寺の中へ、唐の時代に建立されたこの寺院の最大の見どころは、境内にある高さ48mの東塔「鎮国塔」、高さ44mの西塔「仁寿塔」。2塔合わせて「双塔」という楼閣式石塔で泉州華僑の里のシンボルとなっているそうです。

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そしてもう一つの見どころは、本日午前中に行った海外交通史博物館の旧館。なんと1974年に泉州湾で発見された宋代の沈没船の現物が展示されているほか、実際に使用された船具、錨などが展示されています。その迫力に皆様圧倒されました。(残念ながら撮影禁止でした。。)

本日の観光もこれにて終了、夕食のレストランへと向かいます。今日の夕食会場は「佳麗海鮮酒楼」地元でも有名な海鮮専門レストランです!

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個室は海が一望できるテラス付き。
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新鮮な魚介類がズラリと並びます

食事前に厦門の中秋節伝統行事「博餅」に挑戦です。過去の行事と思っていたのですが、レストランの入り口には貸出用の器とさいころが積み上げられ、そこいら中のテーブルでやっている、今でも現役ど真ん中の行事のようです。300年前にオランダ人に侵略された台湾を奪還した中国の国民的英雄鄭成功将軍が台湾を奪還するため、厦門で軍隊養成訓練していたのですが、中秋節になると兵士の望郷の思いを和らげるため実施したのが始まりといわれているそうです。ルールは簡単で数字の四が赤くなっていて、1つ出ると末等賞。次は2つ、3つと増えるごとに商品が良くなるほか、1~6の数字が全部でる、同じ数字が5つ出る等の役があります。もともとは月餅が商品でしたが、今はみんながお金を出し合い商品を調達するのが一般的だそうです。

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最初の練習で、いきなり大技!
確率720/46656(約1.5%)の平分餅が出た!いきなり盛り上がり開始された本番ですが、皆さんの真剣な挑戦と裏腹に、それ以降200回以上さいころを振っても、大技が出ることはありませんでした。。。。。。。。

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本日はビールに加え、地元の白酒もお楽しみいただきました。皆さんおなかも一杯になりホテルへ、本日も猛暑の中、1日お疲れ様でした。気候はきびしかったのですが、今回のツアーは中国にしては移動時間が短く、夕食もゆっくり、夜も8時台にホテル到着と余裕があったため、十分お休みいただけたと思います。あと一日よろしくお願いいたしますね。

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【3日目】
今日のお天気は曇り気味、しかし湿度と気温は相変わらずです。しっかり水分を補給して張り切って出発!
本日のメインは何といっても2017年に世界遺産に認定されたコロンス島!アモイ島の西南にある楕円形の小島です。

島は自動車の乗り入れは禁止されており、すべて徒歩で観光となります。面積は僅か1.8㎢しかないため、島全体が疎開地テーマパークといった感じです。  南京条約(1842年)によって開港させられた後、1902年にコロンス島は共同租界地に定められ、イギリス、アメリカ、フランス、日本、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オランダなどの国が次々に領事館、商社、病院、学校、教会なども設立したため、様々な国の特徴を備えた建物を楽しむことができます。
南国の花と雰囲気のある建物、皆様のんびりと島内観光を楽しまれたと思います。

中国らしく、国際線かと思うような立派なフェリーターミナルから船で、対岸のコロンス島へ向かいます。泳いで渡れるくらい近い島なのですが、厦門の喧騒と全く別世界に出発。到着すると 南国の木々と花々が皆さんを暖かく迎えてくれました。 石畳の道を歩いていると、美しい建物が立ち並び、100年前にタイムスリップしたようです。

2019kya_h (35)2019kya_h (34)2019kya_h (38)旧日本領事館
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教会
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小さい島ですが、観光場所、商店街、レストラン等が整備されています。貝や烏賊の乾物などこの地ならではのお土産をお求めになった方もいらっしゃいました。

街の散策の途中、「海天堂構」に立ち寄りました。この建物はフィリピン華僑の黄氏により1921年に建てられた3棟の建物からなる有名な別荘の1つだそうです。ここでまず民間芸能である繰り人形劇を鑑賞、たばこの煙を吐いたり、本当に人形が皿回しをしたりと、かなりのクオリティーに驚かされました。その後「南音」という伝統音楽を鑑賞したのですが、これがスゴイ!短時間の間に観客がバタバタと眠ってゆきます!私も仕事柄様々なアジアの伝統音楽を聴いてきましたが、ここまでリラックス度が高い音楽とはなかなか出会うことはありません。ご参加者の方々も夢の世界に突入されたようです。

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海の見える高台のレストランで、恒例となった一人1本ビールと、最後のお食事をお楽しみいただき、この島で最も有名なピアノ博物館に向かいます。コロンス島は音楽の聖地で、小さな島にもかかわらず、立派な音楽ホールがあり、音楽にたけた人材を多数輩出し、面積あたりのピアノの保有台数は中国一だそうです。租界時代に各国の領事館からピアノの音が聞こえたが故なのでしょうか。 海際の立派な庭園を抜け、高台に建つピアノ博物館はオーストラリア在住の華僑が商売で得た金で、世界中から一台一台買い集め、そして寄付してしまったそうです!!!!。建物内にはヨーロッパ製のクラシックなピアノが所狭しと並べられ、どれだけの価値があるのか想像もつきません。ただただ圧倒されるだけでした。

2019kya_h (42)圧倒されるばかりです!
2019kya_h (43)見たこともないスタンウェイ
2019kya_h (41)ワインレッドのベヒシュタイン

素晴らしい楽器で心を満たされ、名残惜しいですが、厦門へと戻ります。帰りは最短距離の船に乗り僅か5分で到着
私たちは旅の終盤 胡里山砲台へと向かいます。この高台に立つと驚かれると思いますが、本当に手が届くほど金門島が近く、厦門は長いこと軍事的最前線にあったことがうかがえます。右の写真は、胡里山砲台に今でも残されている巨大なドイツ製の大砲クルップ砲です。地下には弾薬庫も現存し、長さ約14m、光景280mmの大きさにはとにかく圧倒されます。有効射程距離6kmだそうです。
19世紀末に完成したこの大砲ですが、実戦では第二次世界大戦中時に日本軍に対して1発発砲されたのみでその役目を終えたとのことです。ここでは古の海軍衛兵交代式のショーが行われ、観光客の目をを楽しませておりました。

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さてもうすぐ旅行も終了と思いきや、初めてのトラブル発生!! 私たちを迎えに来るはずだったワゴン車のバッテリーが上がってしまい、走行不能に!! すぐに救援車が向かいバッテリーを取替えるとのことでしたので、タクシーに分乗して次の目的地に。。。。 本当にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。 こんなことを申し上げてはいけないのですが、さすが中国在住の皆様! 誰も動揺せずご協力いただきました。本当にありがとうございました!

そんなこんなで最後は厦門きっての繁華街 中山路歩行街にて自由行動。最後のショッピングをお楽しみいただき、空港へ向かいました。
3連休のため飛行機の遅延を心配していましたが、少々の遅れで無事北京に到着いたしました。
皆さま海洋都市厦門、泉州と、世界遺産土楼の魅力をお楽しみいただけましたでしょうか?
ご参加いただきました皆様、大変お疲れ様でございました。心より御礼申し上げます。そしてまたお目にかかれることを楽しみにしております。

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