このたび、裏千家北京同好会との共催により「開炉の茶会・茶道体験会」を開催いたしました。当日は大人9名、子供11名、計20名の皆様にご参加いただき、和の心に触れる貴重なひとときを共に過ごすことができました。

会はまず裏千家同好会の皆様によるお点前のデモンストレーションから始まりました。ご指導役の李丹先生の説明を聞きながら、一つ一つの所作に宿る静けさや丁寧さに、参加者の皆様は深い興味を持って見入っておられました。その後、季節のお菓子をいただき、学んだ作法にのっとりお茶を自ら頂く体験へと進みました。
今回頂いたお菓子は、裏千家同好会の皆様による手作りの「亥の子餅」です。ウリ坊を模した可愛らしい形に、黒ゴマの香ばしさと栗あんのやさしい甘さが口いっぱいに広がる、炉開きの茶席に古くから用いられる伝統のお菓子です。まずはこのお菓子をいただき、その甘さによって胃を保護したうえで、続いて抹茶を味わいます。右手でお茶碗を取り、左手を添え、時計回りに二度回して正面を避けていただくという動作も、皆さん丁寧に実践されていました。甘さの余韻にほろ苦い抹茶の香りが重なり、とても豊かな味わいとなりました。

お茶をいただいた後は、お茶碗を前に置き、低い位置から鑑賞する時間が設けられました。今回配られたお茶碗は一つひとつ柄や形が異なり、秋から冬へと移ろう季節に寄り添う趣が感じられるものでした。
続いてお待ちかねのお点前体験では、お湯と抹茶の入った茶碗と茶筅を手に、それぞれが思い思いにお茶を点てました。お子さまは保護者の方に見守られながら、茶筅を動かす手に一生懸命さがにじみ、なかなか泡立たず苦戦する場面も見られましたが、同好会の皆様が丁寧に個別指導してくださったおかげで、最後には自ら点てたお茶を嬉しそうに味わう姿が印象的でした。

李丹先生によると、開炉の茶会は「茶人の正月」ともいわれる特別な行事です。初夏に摘まれた新茶を収めた茶壷を開き、炉を開いて茶をいただくことで一年の節目を感じます。茶室の床の間には「無事是好年」の掛け軸、茶壷と石臼、そして紅葉の枝があしらわれ、移りゆく季節そのものを立体的に空間で表現したような趣ある設えとなっていました。

今回の体験会は、裏千家北京同好会の皆様の多大なるご協力により、北京にいながら日本の四季と文化の息遣いを感じる豊かなひとときを皆様にお届けすることができました。今後も、季節や文化を大切にした企画をお届けしてまいりたいと思います。
最後に、ご参加いただいた皆様、そして裏千家北京同好会の皆様に心より御礼申し上げます。
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